データセンターとは

データセンターは、データおよびアプリケーションの保存、処理、配布を目的に組織の共有IT運用および設備を一元化する施設です。組織の最も重要な所有資産を格納するため、日常業務を継続する上で極めて重要です。そのため、データセンターとそこに格納されている情報のセキュリティと信頼性は組織にとって最優先事項です。

従来、データセンターは高度に制御された物理インフラストラクチャでしたが、パブリック クラウドにより、そのモデルは変わりました。規制上の制限によりインターネット接続を使用しないオンプレミスのデータセンターが義務付けられている場合を除き、最新のデータセンター インフラストラクチャのほとんどは、オンプレミスの物理サーバから、マルチクラウド環境全体にわたってアプリケーションとワークロードをサポートする仮想化インフラストラクチャに進化しています。

データセンターの役割

データセンターは企業に不可欠な要素であり、ビジネス アプリケーションをサポートし、次のようなサービスを提供するように設計されます。

  • データ ストレージ、管理、バックアップとリカバリ
  • 生産性アプリケーション(電子メールなど)
  • 大量の電子商取引
  • オンライン ゲーム コミュニティの促進
  • ビッグ データ、機械学習、人工知能

現在、世界全体で700万を越えるデータセンターが存在するとされています。実際に、すべての企業と政府機関が少なくとも独自のデータセンターを構築、維持するか、他の組織のデータセンターを利用しています。現在では、コロケーション施設のサーバのレンタル、サードパーティが管理するデータセンター サービスの利用、Amazon、Microsoft、Sony、Googleといったホストが提供するパブリック クラウドベースのサービスの利用など、さまざまなオプションが利用可能です。

データセンターのコア コンポーネント

データセンターのアーキテクチャおよび要件は大きく異なります。例えば、Amazonのようなクラウド サービス プロバイダのために構築されたデータセンターは、政府施設で機密データ保護専用に構築されたものなど、完全にプライベートなデータセンターとは大きく異なる施設、インフラストラクチャ、およびセキュリティ要件を満たしています。

分類にかかわらず、データセンターの効果的な運用を実現するには、施設と設置する設備へのバランスのとれた投資が必要です。また、データセンターには組織のビジネス上重要なデータやアプリケーションが格納されることが多いため、施設と設備の両方が侵入者や サイバー攻撃から保護されていることが不可欠です。

データセンターの主な要素は次の用に分類されます。

  • 施設 – IT設備に利用可能な空間。データセンターは、情報に24時間アクセスできるようにしているため、世界で最もエネルギーを消費する施設の1つです。空間の最適化、および設備を特定の温度/湿度範囲内に維持するための環境制御の最適化の両方の設計が重視されます。
  • コア コンポーネント – IT運用とデータおよびアプリケーションの格納のための設備とソフトウェア。これにはストレージ システム、サーバ、ネットワーク インフラストラクチャ(スイッチ、ルーターなど)、各種情報セキュリティ要素( ファイアウォールなど)が含まれます。
  • サポート インフラストラクチャ – 可能な限り高い可用性の確実な維持に貢献する設備。Uptime Instituteは、可用性が99.671%~99.995%のデータセンターの4つの階層を定義しています。サポート インフラストラクチャの主なコンポーネントは次のとおりです。
    • 無停電電源(UPS) – バッテリ バンク、発電機、および冗長電源。
    • 環境制御 – コンピュータ ルーム空調設備(CRAC)、冷暖房空調設備(HVAC)システム、および排気システム。
    • 物理セキュリティ システム – 生体認証およびビデオ監視システム。
  • 運用スタッフ – 24時間体制で運用監視、およびITやインフラストラクチャ設備の保守に対応できる要員。

近年、データセンターは大幅な進化を遂げています。企業のITニーズがオンデマンド サービスに移行し続ける中、データセンターのインフラストラクチャはオンプレミス サーバから、物理インフラストラクチャとマルチクラウド環境のプール全体にわたるワークロードをサポートする仮想化インフラストラクチャにシフトしています。最近では、「ワークロードの所在地は最新のデータセンター である」という表現もあります。

データセンターの進化や最新のデータセンターとハイブリッド クラウドを保護する方法の詳細については、「 ハイブリッド データセンターを保護するための3つの使用例 」をお読みください。